ドイツ
【どいつ】

独逸・独乙/ doitu
【現代】ヨーロッパの北東部を占める大国。ドイツ語ではDeutschland(ドイチランド)(ドイツ人の国)。 英語ではGermany(ジャーマニー)(ゲルマン人の国)、フランス語では、Allemagne(アルマニュ)(アラマン族の国)という。[中国語]徳国。Germany.
【語源解説】
ドイチェDeutchは〈民衆〉の意の古高地(ホーゴ)ドイツ語、トヒウダthiudによる。thiudはそのまま高地ドイツ語のディウィティスクdiutiskと訛り、さらにdeutchと語形変化。5世紀後半、ライン川地域にゲルマン諸族がすみ、中部にフランンケン族、アラマン族(これからフランス語のAllemagneがでる)がおり、9世紀に部族名を統一してディウティスクの民族名が用いられ、現代のDeutchlandが成立。日本でもこれからドイツと呼称。英語ジャーマニー{じゃまに@ジャーマニー}はローマ帝国時代のゲルマニアGermania(ゲルマン人の国)による。第二次世界大戦後、東西に分割されたが、1990年10月に統一され、公式名、the Federal Republic of Germany(ドイツ連邦共和国)。江戸期には、入(ゼ)尓(ル)馬(マ)尓(ニ)亜(ア)でみえる。幕末は、〈孛漏生(プロイセン)〉{ぷろいせん@孛漏生(プロイセン)}とよぶ。
【用例文】
○入尓馬泥亜(職方外紀)○ゼルマアニヤ、ゼルマニア、入(ゼ)尓(ル)(耳)馬泥亜(マアニア)(新井白石)○入尓馬泥亜 ゼルマニヤ{○}又ホーゴドイツ(蛮語箋)○魯祭亜今いふ赤人国/熱(ゼ)尓(ル)馬(マ)泥(ニ)亜(ア)国(鎖国論)○熱(ゼ)尓(ル)瑪(マ)泥(ニ)亜(ア)、又独(ド)逸(イ)都(ツ)/孛漏生(プロイセン)(青地林宗)○孛漏生(プロイセン)〔オランダ語、Pruisen〕(高野長英)○独乙蘭土文字(蘭学重宝記)○孛漏生(ふろいせん)、南(なん)北(ぼく)日耳蔓(ぜるまん)/普魯士(ふろいす)と仏(ふ)蘭(らん)西(す)の大(おほ)戦争(いくさ)(西洋膝)○日耳曼(ゼルマン) 普魯士(プロイス)、普魯西(プロシャ)国/日耳曼全部ノ表面三万六千二百五十六里ニシテ人口四千六十九万余アリ、之ヲ大小二十五邦ニ区別ス/伯(ベル)霊(リン)、佛(フラ)蘭(ンク)克(フヲ)佛(ルト)(輿地誌略)○独逸(中江兆民・森鴎外)○独乙(内田魯庵)○独乙ビール(石橋忍月)
【補説】
江戸期は連邦の一つと、総称とを区別できなかったようである。

![]() | 東京書籍 「語源海」 JLogosID : 8537847 |