日本
【にっぽん】

nippon
【古代】古代は〈日(ひ)の本(もと)〉。ヤマト、アキツシマ。[中国語]日本。Japan. Nihon.
【語源解説】
太陽(日)が出現する国の意。8世紀前半に、それまではヤマト、ヒノモトと呼んだ。これ以前は中国からは〈倭国(わのくに)〉とよばれた。ヒノモトに〈日の本{ひのもと@日の本}〉をあて、〈日本(ジッポン)〉と音でも呼ぶようになった。日がジツmini{(漢音)}と発音するところからZippon(ジッポン)→Japanと変化した。また日はニチ(呉音)と発音するところからニチホン、ニッポン、ニホンとも呼ばれた。現代でも、東京では〈日(ニ)本(ホン)橋(バシ)〉、大阪では〈日本橋(ニッポンバシ)〉とよぶ。
【用例文】
○日本国ハ倭国ノ別種ナリ、其ノ国日辺ニ在ルヲ以テ、故ニ日本ヲ以テ名ト為ス。或ハ曰フ、倭国自ラ其ノ名ノ雅ナラザルヲ悪(ニク)ミ改メテ日本ト為スト(旧(く)唐(とう)書(じょ)東夷伝、倭国日本伝)○開元五年〔717〕十月、日本、国使ヲ遣ハシテ朝貢ス/日本国使(冊府元亀)○倭国更テ日本ト号ス、自カラ言フ日ノ出ル所ニ近キヲ以テ名ト為スト(東国通鑑)○大宝元年〔701〕、日本(大宝律令)○慶雲元年〔704〕粟田朝臣真人、初メテ唐ニ至ルトキニ日本国ノ使ゾト(続日本紀)○日本国より仏法ならひつたへむとてわたれる僧なり/にっぽんの方に迎て祈念して云(宇治拾)○Nippon. ニッポン ヒノモト、ニッシュウ〔日州〕、ニホン、ヤソシマ、ヨモギガシマ/フソウ〔扶桑〕/ニッポンイチ(日葡辞書)○日本(ニッホン)(易節用集)○日本永代蔵(にっぽんえいたいぐら)/日本橋(にっぽんばし)/日(に)本(ほん)橋(ばし)(西鶴)○日本にをゐてやさしき道あり、是大和歌也(男色十寸鏡)○大日本国。豊(トヨ)葦(アシ)原(ハラ)千(チ)五(イ)百(ヲ)秋瑞穂(アキノミツホノ)国、浦安ノ国細(ホソ)戈(ホコ)千足(チタルノ)国、磯(シ)輪(ワ)上(カミ)秀(ホノ)真(マノ)国、玉垣内国、以上ハ神代ニ称スル所ノ国号ナリ、豊(トヨ)秋(アキ)津(ツ)洲(ス)、大(ヲオ)八(ヤ)洲国(シマノクニ)、虚(ソラ)見(ミ)津(ツ)日本国/大和(ヤマトノ)国、大倭国(和漢)○日本、ヤッパン、ヤポネーセン(蛮語箋)○鶏が鳴て日本の夜が明る(川柳)○ニッポン 日本〈ヒノモト〉Japan. /ニホン 日本 日本コク、日本ジン、日本ゴ、ニッポン(ヘボン)○Japan,. Nihon(c), Nippon(英和辞典)
【補説】
表記の〈日本〉の明示は「大(たい)宝(ほう)律(りつ)令(りょう)」により、大宝元年(701)に定められた。また〈ニホン〉とあっても促音便は明治以前は示さぬこともあって、〈ニッポン〉とよんだかもしれず、未詳。したがって一般的には〈日本(ニッポン)〉が古代から一貫した表記と発音と思われる。ただし『日本書紀』やその別名『日本紀』ではいずれもニホンとよまれている。〈日本〉も複合語などでは、その複合語次第でニッポン・ニホンと二通りに発音する。なお〈和〉も「英和辞典」のように、古代から日本をさして用いられているが、〈倭〉を〈和〉と代えての用法。

![]() | 東京書籍 「語源海」 JLogosID : 8537921 |