ワクチン
【わくちん】

[ドイツ語]vakzin/wakutin
【現代】予防接種用の免疫剤。病原微生物を培養し、これを殺すか、生きたままで毒性を弱めた製剤。注射また内服などの方法で接種し、伝染病を予防、治療する。なお皮膚や粘膜に反応をおこさせ観察により伝染病の診断に用いる場合もある。[中国語]痘苗、疫苗。vaccine(ヴェクシーン).
【語源解説】
ラテン語、〈牛の〉の意のvacc={i}nus。天然痘を撲滅するのに牛痘のウイルス〔濾過性病原体〕を接種に用いたところから。日本ではじめての〈牛痘接種〉の紹介は、蘭通詞、馬場佐十郎の翻訳書、『遁(とん)花(か)秘(ひ)訣(けつ)』(文化10年・1813成。別名、魯西亜牛痘全書)。ここにジェンナー(当時は應涅児(エンネル),Jennerと紹介)の牛痘接種が詳述された(原本はロシア語版)。具体的接種は幕末、長崎での蘭医による。なお、江戸末期日本人の中にも牛と天然痘免疫に気づいていた漢方医はいた。なお、小児麻(マ)痺(ヒ)(poliomyelitis)のワクチン〈ソークワクチン〉のソークはアメリカの医学者、ソークJ.E.Salk(1914~)の名にちなむ。

![]() | 東京書籍 「語源海」 JLogosID : 8538262 |