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神話が語るもう一つの原始日本


神話が語るもう一つの原始日本

◎神話にみる日本の誕生

 はるか太古から人々の口承によって伝えられてきた日本誕生や神々の物語がある。私たちは『古事記』と『日本書紀』によって、その壮大な神話を知ることができる。両書には内容の相違もあるが、日本神話の概略を簡単に語っておこう。

 ――すべては混沌としていた。やがて陰と陽が分かれ、天と地になった。そして、天上界の高天原[たかまがはら]に3神が出現し、イザナギとイザナミの兄妹神を生む。

 兄妹は交わりを結び、次々に新しい島を生んでゆく。それが豊葦原瑞穂国[とよあしはらみずほのくに](日本列島)になる。その後2人は、アマテラス(太陽)、ツクヨミ(月、暦)、スサノオ(荒ぶる神)と続々と神々を誕生させ、最期にイザナミは火の神を生むが、ホト(性器)を焼かれて死んでしまう。

 イザナギは嘆き悲しんで黄泉の国(死後の世界)までイザナミを追っていったが、妻の変わり果てた恐ろしい姿を見て逃げ出した。

 その後、イザナギはアマテラスに高天原の支配を託したが、スサノオが天上界で悪事を繰り返したため、怒ったアマテラスは天の岩屋戸に姿を隠してしまう。そのため、世界は常夜[とこよ]となった。困った神々は、祭りや踊りで彼女の興味を引き、ようやく岩屋戸から招き出した。同時に神々は、スサノオを高天原から追放した。

 放逐されたスサノオは、豊葦原瑞穂国の出雲に降り立ち、人々を困らせているヤマタノオロチを見事に退治して英雄となる。

◎日本はアマテラスの子孫の国!?

 やがて地上界はスサノオの子孫であるオオクニヌシの支配するところとなった。オオクニヌシは、他の神と協力して精力的に地上の国づくりを行なっていった。

 一方、天上界のアマテラスは、自分の子孫であるヒノホニニギに3種の神器を与えて地上の支配を命ずる。よってヒノホニニギは、豊葦原瑞穂国の日向に降り立った。すなわちこれが、天孫降臨[てんそんこうりん]である。

 結局、オオクニヌシはヒノホニニギに国を譲ることを決意。それ以後、ヒノホニニギの子孫がこの国を支配することになったのだった。

 ちなみに、ヒノホニニギから数えて4代目が、神武[じんむ]天皇である。




日本実業出版社
「早わかり日本史」
JLogosID : 8539508