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さへ
全訳古語辞典

さへ(サエ)〔体言、活用語の連体形、助詞などに付く〕[1](添加)(…だけでなく)…まで。さらに…までも。
[例]「神さへいといみじう鳴り、雨もいたう降りければ」〈伊勢・六〉
[訳]「雷までもが激しく鳴り、雨もひどく降ったので」


[2](類推。程度の軽いものや特殊なものをあげて、より程度の重いものや一般的なものを類推させて)…でさえ。…さえも。…すら。
[例]「烏(からす)の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。まいて雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるはいとをかし」〈枕草子・春はあけぼの〉
[訳]「烏が寝床へ帰るために、三羽四羽、二羽三羽など(かたまって)飛び急ぐようすでさえ風情がある。まして、雁などの連なったのが、たいへん小さく見えているのはとても趣深い」
[3]〔仮定条件を表す句の中で〕(限定)…さえ。…だけでも。
[例]「四貫匁の借銭さへ済めば、殿と御夫婦にならしゃれ共、その銀(かね)が無い」〈伎・傾城壬生大念仏・中〉
[訳]「四貫匁の借金さえ済んでしまえば、殿とご夫婦になれるのだけれども、その金がない」
<参考>「さへ」は、語源的には「添へ」の変化したものと言われ、平安時代までは添加の意味がほとんどであった。平安時代以降、「すら」や「だに」の語が衰えるにつれて、これらの語の意味も表すようになってゆく。[2]の類推は「すら」、[3]の限定は「だに」の意味をそれぞれ引き受けたものである。