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語源海

【江戸時代】第一人称の代名詞。同等あるいは目下と話すときの話し手の自称語。[中国語]我。I.

【語源解説】
漢字〈僕〉は中国語としては、車ノ御者、下人(しもべ)、自己(謙遜していう)とさまざまであるが、ニンベン{にんべん}(意味を示す)とツクリ{ぼくみぎ}(音を示す)の組み合わせで、素朴の朴と同じ。下賤の者の意という。中国古典、『史記』に一人称代名詞としてみえ、日本でも『日本書紀』に〈僕(やつがれ){やつがれ@僕(やつがれ)}〉と訓んで、やはり一人称代名詞としてみえる。しかし、現代語の〈僕(ボク)〉の用法は幕末からみえ、明治以降一般的となる。

【用例文】
○僕(ぼく)儀は何によらず祝儀の席をはづさず(平賀源内)○一たび御目にふれさせられて御咎だになくは僕が大幸也(本居宣長)○僕(ぼく)mini{拙者}(雑文穿袋)○アノ僕に声をかけ給ひたるは貴(き)嬢(じょう)でありやすかね(七偏人)○一旦僕之舌頭にて相破れ候様にては甚不本意に御座候(橋本左内)○僕(ぼく)なぞも誠(せい)実(じつ)賞(しょう)味(み)いたすでござる(安愚楽鍋)○それは僕の懐中時計だ(黙阿弥)○マア僕のために奔走して嚢中を空しくすることなかれ(江湖機関西洋鑑(うきよからくりせいようめがね))○僕もネ、人伝手(ひとづて)のまた聞きだから(坪内逍遥)○僕(ぼく)は偶然それが明治十三年の出来事だと云ふことを記憶してゐる(森鴎外)○お前(まへ)が僕(ぼく)の介抱をしてくれるのも今夜限(尾崎紅葉)○イヤ誠に失敬僕ハ甚だ酩酊致しまして(三遊亭円朝)
【補説】
僕(ボク)は文明開化のシンボル的人称代名詞、西洋を学ぶもの、書生など新しい時代の若者が主として用いている。ただし清代の白話小説にみえるので、その影響が考えられる。そして対する二人称人代詞は、〈君(きみ)〉。僕−君で一対である。