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おくやまに
【おくやまに】


〈古今・秋上・二一五・詠み人知らず〉
[訳]「奥深い山の中で、散り敷いたもみじを踏み分けて鳴く鹿の声を聞くときこそ、秋はもの悲しいものだと感じられることだ」
<参考>この歌の作者は『古今和歌集』では詠み人知らずだが、三十六歌仙のもととなった藤原公任(きんとう)の『三十六人撰』などでは伝説の歌人猿丸大夫(さるまるだいふ)に仮託されている。定家はこの説を全面的に支持していたわけでもないようだが、『百人一首』では作者名が必要であったからか、猿丸大夫としている。この歌は、『古今和歌集』の配列の位置からすると、鹿と取り合わされる萩(はぎ)の下葉の黄葉を詠んだ歌となるが、『百人一首』の歌としては、定家も晩秋の奥山の寂寥(せきりょう)の中で楓(かえで)の紅葉を踏み分けて妻恋に鳴く鹿を想像していたらしく、そのような理解が定着していく。「紅葉踏み分け」の主体は鹿とするのが通説だが、人(=作者)とする説もある。定家は「◎秋山は紅葉踏み分け訪(と)ふ人も声聞く鹿の音にぞ泣きぬる」〈拾遺愚草員外〉と詠んでいるので、「人」としていたとされている。→<暮らしと文化>「花札の絵柄」




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5103837