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歎きの森(古代〜中世)


平安期から見える地名大隅国桑西郷のうち気色【けしき】の森(国分市)とともに,日本で最南に位置する歌枕の地として著名現在,隼人町大字内に鎮座し,大隅国二之宮の別称を持つ蛭子神社の境内に当たる「日本書紀」神代上に,イザナギ・イザナミの2神の生んだ蛭児が3歳に至るも脚が立たなかったので,アマノイハクス船に乗せて放棄した話を載せるが,そのクスの船が当地に漂着し根づいてクスの森になったという(三国名勝図会)「なげき」の名称は蛭児の身体に対するイザナギ・イザナミの嘆きにちなむものといわれる当地を歌ったものでは,小倉百人一首の歌人として知られる讃岐(安倍清行朝臣の女)の「ねぎ事をさのみききけむやしろこそ 果はなげきのもりとなるらめ」(古今集)という歌が古来有名「栄花物語」巻9いはかげに,「月かげの木の下闇にまどふめる歎きの森のしげさをぞ,払はんかたも思ほえず」との用例もあるまた,鎌倉期の建長元年に編まれた「現存和歌六帖」に前大納言為家の作歌として「まつはるるなけきの杜のさねかつら絶ぬや人のつらさ成覧」を載せている(群書10)

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KADOKAWA
「角川日本地名大辞典(旧地名編)」
JLogosID : 7462903