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天橋立
【あまのはしだて】


海橋立とも書く(百錬抄)。宮津市にある名勝地。日本三景の1つ。宮津市江尻から文珠までの長さ約3,615m・幅19~49mの砂嘴,宮津湾(与謝海)と阿蘇海を二分する。全体は白砂におおわれ,約6,600本のマツが林をつくる。砂嘴は南の先端で分断され,北大半を大天橋,南を小天橋と呼ぶ。大天橋は江尻から南西に延び,中央を府道天の橋立線が通る。小天橋は文珠の切戸(九世の戸)から南に延び,文珠とは回旋橋で結ばれ,大天橋とは唐橋風の橋で連絡する。小天橋の南延長には第2小天橋(長さ363m)がある。砂嘴としての成因や発達には種々の仮説があり一定していない。古図や諸記録と現地形が相違しており,特に江戸期以降の洪水による決壊,文珠沿岸の新田開発などにより,砂洲としての変容は著しい。地名の初見は,「丹後国風土記」逸文に見える「天の梯立」。「釈日本紀」「古事記伝」では,天橋立を「天浮橋」にみたてている。周辺には西国札所の成相寺,大谷寺,文殊信仰の智恩寺(文殊堂),奈良期創建の国分寺,丹後一の宮籠神社などがあり,府中という地名もある。名所遊覧を兼ねた社寺参詣が中世から近世にかけて庶民の間に盛行し,足利義満・覚如・雪舟らも訪れている。江戸初期には陸奥の松島,安芸の宮島とともに日本三景の1つとして定着。現在は付近一帯が若狭湾国定公園の一部をなし,大天橋・小天橋・第2小天橋・傘松の区域は府立天橋立公園,これに智恩寺境内を含めて国特別名勝地域の指定を受けている。また,大天橋濃松(あつまつ)に吉佐宮の故地と伝える天橋立神社があり,その境内に磯清水がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7136204