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みかんの缶詰
【みかんのかんづめ】


缶詰のみかんの薄皮は、どうやってむくのか?

お正月炬燵ミカンという懐かしい日本の原風景はあるものの、いまでは年間通し缶詰という形でいつでも手に入る。これを器に移してそのまま食べるにしろ、フルーツポンチ中身として加えるにしろ、つくづく眺め思うのは、どうしてこんなにきれいに、白いスジまで取れているんだろうということだ。これは大量生産工場だからできることで、すべて機械作業でおこなわれている。まず外果皮は、蒸気当て柔らかくしてから、軽く傷をつけて溝つきローラーの上を転がすと、はがれるようにしてむける。外果皮がむけた固まっている房は、水圧によって一つひとつの房に分ける。さてここからが一つひとつの房の薄皮のむき方だが、一般的に袋と呼ばれている内果皮は、酸とアルカリ溶液作用で溶かしている。溶液は、もちろん食品添加物として認可されている、ごく薄い溶液である。一つひとつばらばらになった房を最初薄い酸の溶液のなかを流す。三〇〇メートル長さを三〇分から四〇分かけ、ゆっくり流す。房の一つひとつを壊さないためだ。次にそれを同じようにアルカリ溶液のなかを一五分から二〇分かけて流して、内果皮を溶かし続ける同時に中和作用もおこなう。最後に五〇分かけて一八程度水のなかを流すことで、実を引き締めながら、最後の洗浄スジまできれいになくす。これで粒のそろった缶詰用の実の完成だが、使われている温州ミカンは、生食には向かない小粒が選ばれている。生産地によって内果皮厚さに差があったりするので、内果皮溶かす溶液濃度違うという。たとえば九州ミカンの内果皮溶かす溶液のなかに静岡ミカン流すと、なかの実まで溶かしてしまうそうだ。




東京書籍
「雑学大全2」
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