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Jカーブ効果
【じぇーかーぶこうか】


自国通貨高が進行すれば、一般に国際的な価格競争力が低下し、輸出の減少・輸入の増加要因となるため貿易収支は悪化するが、短期的にはむしろ貿易収支が改善し、タイムラグを置いて貿易収支が悪化に向かう現象をいう。縦軸に貿易収支、横軸に時間の経過を置くと、アルファベットの「J」の文字に似た形状を示すことから「Jカーブ効果」と呼ばれる。
Jカーブ効果は以下のようなメカニズムで発生する。為替が変動しても、国内の生産構造はすぐには変わらないため輸入数量は短期的には大きく変化しない。輸出数量も、長期契約の存在などから短期的には大きく変化しない。日本の場合、輸入は大半がドル建て契約だが、輸出は4割程度が円建て契約である。ここで、輸入はドル建て契約、輸出は円建て契約を前提とし、円高が進んだ場合を考える。短期的には円表示の輸入額は減少するが、円表示の輸出額は変わらない。逆に、ドル表示の輸入額は変わらないが、ドル表示の輸出額は増加する。結局、円表示でもドル表示でも、短期的には円高によって貿易収支が改善することになる。
しかし、時間の経過とともに次第に輸入数量が増加、輸出数量が減少し、数量効果が価格効果を上回るようになるため、貿易収支は悪化に向かう。1985年9月のプラザ合意によって、その後急速に円高が進んだが、翌1986年度の貿易黒字はむしろ増加、減少に転じたのは1987年度からであった。「Jカーブ効果」の典型的な事例である。




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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