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セル生産
【せるせいさん】


製造業で一般的なライン生産は、組立仕掛品をベルトコンベアーに流し、その片側または両側に並んだ作業者が流れ作業で部品取付けや加工を行う生産方式である。ライン生産の利点として、&wc1;単一製品を大量生産するのに適している、&wc2;作業者は基本的に1つの作業のみを行うため習熟が早い、があげられる。その半面、&wc1;生産品種の切替えに時間がかかるため少量多品種の生産に不適、&wc2;仕掛品の在庫量が多く発生する、&wc3;製造工程全体の速度が、最も遅い工程の速度と同じになる、という欠点がある。
一方セル生産は、1人ないしは少数の作業者チーム(セル)が製品の組立を完成までを行う方式であり、ライン生産と逆の利点を持つ。すなわち、&wc1;少量多品種に適しており、&wc2;仕掛品在庫を抑制でき、また&wc3;生産速度が作業習熟度に比例して上がるという特徴を持つ。反面、作業者の習熟が大きな課題であるため、人材確保が困難な海外工場でセル生産を行う場合などは、生産効率が上がらない事態が発生する。
セル生産が発達した背景には、1990年代以降、消費者ニーズの多様化に伴い少量多品種生産への対応がメーカ側に求められるようになったことがあげられる。当初、キャノンや松下電器産業(現パナソニック)などの日系メーカが導入し成功を収めたことが紹介され、以降他の日系および海外メーカに普及していった。近年の成功事例としては、2008年以降、国内の複数工場で大型家電のセル生産を導入している日立アプライアンスがあげられる。独自の作業台の開発などによって洗濯乾燥機では仕掛品の40%低減に成功するなど、各工場で5~20%のスループット向上を実現している。




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日経BP社
「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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