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▼ハリなしでアナゴを釣る数珠釣りの妙技


アナゴ漁でもっとも愉快なのは松島(宮城県)に伝わる数珠釣りであろう。木綿糸の先にゴカイイソメを縒(よ)るようにしてしばりつけ(その格好が数珠に似ている!)、それを竹竿に結ぶ。ハリを使わないから、アナゴがエサにくいついたらそーっと竿を上げる松島湾の漁場が2メートル前後と浅いからできる漁法だろう。「数珠釣りはエサを付け替えることもなく、ハリから魚をはずす手間も必要ないから手返しがよく数が釣れる。もっとも今はアナゴが少なくなったから趣味みたいなものだ」と松島の漁師は嘆いていた。
その松島ではアナゴの焼き干しがよく知られる。背から包丁を入れてハラワタを取り出し素焼きにして天日で干しあげる。松島湾アナゴが多かった時代、松島から仙台にかけての家庭では、正月の雑煮にこれを使ってだしを取っていたのだ。




東京書籍
「旬のうまい魚を知る本」
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