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▼出陣や凱旋の祝いに不可欠だった熨斗鮑


日本産アワビ古くから強精食品として喧伝されていたらしい。紀元前221年に中国を統一した秦の始皇帝は、不老不死アワビ手に入れるため、道士の徐福以下500人を日本に向かわせたという記録が残っている。日本では縁起物として珍重されてきた。アワビの身を乾かし、かんぴょう状にしたものを熨斗(のし)鮑といい、これは古くからの献上品だった。中世には武家の出陣や凱旋の祝いに熨斗鮑が用いられた。これがのちに簡略化されて、折りたたんだ紙の中に熨斗鮑の小片を入れるようになり、いつの頃からか折りたたんだ紙だけの熨斗袋になった。女が啖呵(たんか)を切るときの決まり文句「あんな男は熨斗を付けてやるよ」でおなじみのものだ。




東京書籍
「旬のうまい魚を知る本」
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