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▼十三湖畔に受け継がれる健康食「シジミの煮汁」


ヤマトシジミの主産地である十三湖は青森県の西海岸に位置し、岩木川から流れこむ淡水と日本海の海水が混ざり合う汽水湖だ。ここのシジミは寒さ厳しい自然環境の中でゆっくりと育つせいか、味にコクがあり、県内外のシジミ好きに支持されている。その十三湖抱える市浦村には、シジミの煮汁という健康食が古くから受け継がれている。
煮汁の作り方を聞けば、なるほどその効果を期待しないではいられない。砂出しをしたシジミを殻ごと鍋に入れて強火で煮る。水も入れないし、味つけもしない。沸騰したところで火を弱めてさらに煮る。白く濁ったところで火をとめて、煮汁をさらしで濾(こ)す。それを再度煮つめて、やっとできあがる。2キロのシジミからたったコップ一杯の煮汁しか作れない。「これを飲んでいれば二日酔い知らずだ」とは土地の酒好き漁師の弁。




東京書籍
「旬のうまい魚を知る本」
JLogosID : 14070109