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▼おそるおそる口にして病みつきに


ホヤは原始的な脊索動物という原索動物に分類され、われわれ脊椎動物の起源と進化をさぐるうえで貴重な存在だともいわれている。日本沿岸に約200種類を数えるそうだが、食用にする多くは、北海道南部から九州北部までに分布するマボヤである。にぎりこぶし大で赤褐色の厚い殻に覆われ、その殻には角のような突起が突き出ている。この形から「海のパイナップル」と呼ぶ人もいて、初めて見る人はまずその奇怪な姿に驚く。それでもおそるおそる殻の中の橙色の身を口にすると、半数の人は病みつきになる。では、あとの半数の人はどうなるかというと、そのくせのある味と匂いに閉口して、以後遠慮することになる。ホヤはそういう食べ物なのだ。




東京書籍
「旬のうまい魚を知る本」
JLogosID : 14070142