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▼煮たり焼いたりしたらもったいないじゃけん


清水サバは立縄漁という釣りで漁獲される。「ウキ」と呼んでいる小さなバケツほどの大きさの発泡スチロールに15~20メートルの道糸をつなぐ。その途中にナス型の中オモリを結び、幹糸に20本前後の枝糸と針を結ぶ。エサは短冊切りのサバや一尾のままのマイワシ。先端のオモリには太さ1センチ、長さ2メートル前後の太い針金を代用する。この仕掛けをいくつも流して、魚がかかるのをウキの動きで見て取り込む
立縄漁の出港は午前0時。1時間ほど沖合に走り、各漁師が思い思いの漁場を確保して、しばらく時間待ちをする。午前3時ぴったりに全員同時に漁を開始する。釣り上げたゴマサバは温度調節可能な生簀に放りこみ、午前9~10時に帰港すると、ただちに漁港に設置されている活魚槽へ移して生かしておく。
そう、清水サバは活魚として、あるいは生き締めにして運ばれ、刺身で食べられる高級魚なのである。とれたてを煮たり、焼いたりしたらもったいないじゃけんということだ。「ここらでは刺身はゴマサバにかぎり、マサバは刺身にしてはいかんといわれている」という人もいるのである。土地が変われば料理法も変わり、実に興味深い




東京書籍
「旬のうまい魚を知る本」
JLogosID : 14070256