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▼小川原湖畔に受け継がれるワカサギの「すし」


小川原湖畔の上北(かみきた)町(青森県)の年間漁獲量は、例年600トン前後で日本一。漁の主体は30隻の船曳漁で、9月から12月までワカサギシラウオを狙って出漁する。ほかにワカサギ狙いの刺し網漁も行われている。
その刺し網の漁師から上北町古くから伝わるワカサギの「すし」の作り方を教わったことがある。まずウロコを取り除き、背割りにしてハラワタを取り除いて頭をもぐ。次に軍手をはめてごしごしとよく水洗いする。そして水に漬け、その水を何回も取り替えて、ていねいに血抜きをする。それからワカサギを1日塩漬けにする。出てきた水気を捨て、さらに水に漬けて適度に塩を抜く。この適度が難しいらしい。ザルに上げて水気を切り、酢に漬け込んで1時間おき、もう一度ザルに上げる。冷ましたご飯、細切りのニンジン輪切りタカノツメ混ぜ合わせて、これと魚を交互に重ねながら桶に漬け込んでいく。
それから40日後にやっと食べることができるようになる保存食だ。「ここらでは『すしは40日』という決まり文句があるさあ」と刺し網の漁師。漁師手作りの「すし」は、発酵性の魚ずしにしてはくせがなく、実に食べやすかった。




東京書籍
「旬のうまい魚を知る本」
JLogosID : 14070314