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▼漁師流水なますの作り方


富浦町に「福喜庵」という割烹料理屋がある。本格的な漁師料理を味わえるとあって、遠く東京からわざわざ足を運ぶ魚好きが少なくない。割烹といっても、昼の刺身定食が1200円と気軽なお値段なのも人気の理由だろう。漁師料理に強いのは当たり前で、自ら包丁をにぎる女将は、富浦の網元の娘として、十代の頃から母親を手伝い、若い漁師の三度の食事を作っていたのだから。この人直伝の水なますの作り方をご伝授しよう。
ウロコを引き、水洗いして水気を拭き取る。頭を落としてハラワタを掻き出し、水洗いして水気を拭き取る。3枚におろして、腹骨部分をそぐように切り取る骨抜きで小骨を抜き取る。なにしろ「イサキ北向きで食べろ」である。小骨はていねいに取り除きたい。
2枚の身を細かく切り、味噌と長ネギ、青ジソの葉、根ショウガと一緒に包丁の刃先でトントンとたたく。どんぶりに氷水を入れ、この中にたたいた身を浮かせる。これだけだ。大切なことは新鮮なイサキ手に入れることにある。
6~7月のイサキは抱卵している。この卵は絶対に捨てないこと。醤油と酒でさっと煮てもうまいし、バターで炒めても絶品の酒の肴になる。魚卵の中でもトップクラスの美味ですよ。




東京書籍
「旬のうまい魚を知る本」
JLogosID : 14070405