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▼背越しで食べるなら、この魚


珊瑚礁のような青緑色の背に、ハデな黄色の太い縦縞が2本。タカベ熱帯魚風ではあるけれど味はよい。大きな群れを作るため、ときに大漁になり、お手頃価格で店先に並ぶことがある。そんなとき、ぼくは少し多めに買い込んで、塩焼き煮付けなどで夏の味覚を楽しむ。なかでも漁師料理の背越しが大好物。小ぶりで鮮度バツグンのタカベを選び、ウロコと頭とハラワタとヒレを取り除き、背から一気に包丁を入れる、つまり丸のままの薄切りにする。これを中骨ごと醤油でほおばる。噛みしめていると、やがて骨の中からエッセンスがにじみ出て、魚ってこんなにうまいのかと、あらためて頭が下がってしまう。




東京書籍
「旬のうまい魚を知る本」
JLogosID : 14070429