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▼皮がカリッ、白い身がプリッ


ボウアナゴ焼き物にかぎりますよ」といって、澤木さんの奥さんが焼いてくれた。「うちでは口を切り落として、二つか三つに切ってから焼きます。こんがり焼けたところで、食べやすい大きさ切って、おろし醤油と一緒に食べるんですよ」。
やがて野性的な香ばしさが部屋中に充満してきた。目の前に出されたのは、ぶつ切りアナゴならこんな形だろうと思える一品。香ばしさはウナギに勝り、プリプリした食感はアナゴどころではない。皮のカリッとした歯ざわりは痛快でさえある。脊椎の代わりをつとめる脊索が、ぷつんぷつんとした歯ごたえで愉快でもある。男鹿の居酒屋で人気のつまみだけのことはある。「見た目見た目ですから、最初はみなさん敬遠しますが、それでもおそるおそる試食した人は、みんなおいしいといいますよ」
ボウアナゴ漁の最盛期は6月から10月までだが、居酒屋では7月から8月にかけてが圧倒的な人気だ。夏バテ防止の「土用のウナギ」にあやかってのことにちがいない。




東京書籍
「旬のうまい魚を知る本」
JLogosID : 14070453