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▼波切の大敷網でソウダガツオの大漁


三重県大王町波切(なきり)の沖は、かつて『波切大王なけりゃよい』とまで船乗りたちに恐れられた難所。その荒い外海でもまれて育つから、ここの魚は身がしまってうまいとされる。その波切の大敷網(大型定置網)で、ソウダガツオの大漁に出会ったことがある。早朝5時に大敷網の漁船に乗った。15分ほど走って漁場に到着すると、乗組員たちはムダのない動きで、二つの漁船を寄せて網をせばめていく。網の中に魚が見えはじめると、全員が「セーチェー」と威勢のよいかけ声をあげて網を上げる。「大漁だぞ!」という大きな声が飛んだ。網の中でアオリイカが悠々と泳ぎ、マアジが銀鱗を光らせる。そのなかに見なれたマルソウダヒラソウダがたくさん混ざっていた。




東京書籍
「旬のうまい魚を知る本」
JLogosID : 14070542