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▼田作とごまめの語源は?


4~5センチまで成長したカタクチイワシを真水で洗って干したものを田作(たづくり)、あるいはごまめと呼ぶ。砂糖醤油を絡めてゴマをふったのが、縁起物として正月の膳を飾るのでご存じのはず。この名の由来がなかなか興味深い。以前、産地ではカタクチイワシを絞って作る魚油、その絞りかすの肥料「しめかす」、またカタクチイワシを干して作る肥料「ほしか」が大きな産業だった。ほしかは稲作に絶好の肥料であり、「田を作る田作」、「五万俵も収穫できる五万米(ごまめ)」と呼ぶようになった。あるいは知恵者が売上げの増大を狙って考え出したキャッチコピーとも考えられる。なおつまらない人間がすぐれた人の間に不相応にまじっていることを「ごまめの魚(とと)交じり」、力のない者がやたらにいきり立つさまを「ごまめの歯ぎしり」という。小魚を人間にたとえて揶揄(やゆ)した、うまい諺だ。




東京書籍
「旬のうまい魚を知る本」
JLogosID : 14070561