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▼肝なくしてドンコ料理は語れない


「高倉荘」の自慢料理はドンコのすまし汁。これには大きな肝がドーンとはいっていた。汁を一口すすって、ほかのすまし汁では絶対に味わえない強烈な旨味に惚れ惚れした。ぼくの大好物という点を差し引いても、天下一品のうまさである。ドンコにありがちな臭みがまったくない。肝の濃厚さはどうだろう。清楚淡泊な味の白身との取り合わせ楽しい
続いてドンコのたたき。これも肝が主役である。肝と身と味噌を包丁でたたいただけの漁師料理。肝ならではのはつらつとした生気が、心のすきまの奥底まで潤すかのようだった。「肝がなくてはドンコ料理とはいわないよ」と各ドンコ産地で耳にタコができるほど聞いてきた。歌津町でそのとおりであることを再認識したのだった。




東京書籍
「旬のうまい魚を知る本」
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