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▼たくさんの異名を持つカレイ


標準和名のババガレイ通り名であるとずっと思い込んでいた。だって婆のカレイなんて、あまりに失礼ですよね。もっとも、名が体を表してはいる。目のある側は暗褐色、あるいは赤褐色で、形も数も色も不明瞭な暗色の紋が浮き出て、どことなくきたならしい。体表の粘液はほかのカレイよりもたっぷり。唇は厚く、どことなくしまらない。太ってぼってりしている。
奇妙な姿からか、変わった地方名が多い。広く知れわたっているナメタガレイの名は、もともと東北の呼び名。体表のネバネバがいかにもなめられたように見えるからだ。東北ではウバガレイと呼ぶところもある。乳母ではなくて姥であろう。茨城ではダルマガレイ、あるいはダルマビラと呼んだりする。北海道ではブタガレイの名もある。ぼってりした様子がブタに似ているからにちがいない。山形ではアワフキ、山陰ではシャボンと呼ぶ。トロ箱で運ばれるとき、体表のヌルヌルが泡立つことによる。




東京書籍
「旬のうまい魚を知る本」
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