桑窪城[関東地方] 角川日本地名大辞典

中世の平山城。塩谷郡高根沢町桑窪字宿に所在。喜連川(きつれがわ)丘陵の支丘浦山の南端，浄土真宗徳明寺の東側に位置し，現在は山林・畑地になっている。本丸と二の丸からなり，本丸は最高所に占地し，北端部の東西35m，南端部の東西50m・南北75mで，中ふくらみの不整長方形を呈し，土塁・空堀が囲繞している。本丸内は平坦で桑畑，周囲は雑木林になっている。土塁は幅７m前後・高さ３mで，堀は幅７m・深さ約4.5mである。井戸が本丸内に存したが確認されていない。本丸の南方に大手門がある。城郭の東側と西側は堀を隔てて断崖をなし，北側には空堀を隔てて土塁があり，さらに離れて外堀が残存する。城郭の縄張りは円郭式で，遺存度は比較的良好。築城者は谷口筑前守と伝えるが，建久年間，桑窪修理亮秀春の築城とみるべきである。稲毛田(いなげた)城（芳賀町）の支城であるところからみて，正平16年稲毛田城が宇都宮氏綱に滅ぼされたころ廃城になったらしい。