アンゴラ（国のなりたち）

16世紀頃，中部にマタンバ（ンドゴンゴ）王国が栄えたが，同じ頃1482年にポルトガル人ディオゴ・カンが沿岸部に来航した。1575年にポルトガルはルアンダに奴隷貿易の基地を建設，以後300万人以上の黒人奴隷をブラジル方面に送った。1680年までに現領域を支配下に置き，1885年ベルリン条約で正式にポルトガルの植民地が確定，1951年にポルトガル海外州に昇格させ，本国の一部として同化政策を強化した。50年代から独立闘争は活発化し，56年に独立政権の主体となる「アンゴラ解放人民運動（MPLA）」が結成され，60年代には「アンゴラ民族解放戦線（FNLA）」や「アンゴラ全面独立民族同盟（UNITA）」が相次いで生まれた。この３派は各地域の有力部族を基盤に結成されたもので，独立運動の主導権を争って激しく対立した。宗主国ポルトガルは75年１月から３派と独立交渉を開始し，同年11月11日には完全独立を達成。しかし，独立直後から３派間の本格的なアンゴラ内戦に突入，77年初めまでにはソ連とキューバ軍の支援を受けたMPLAが，米国と南アフリカが支援するFNLA・UNITA連合勢力を圧倒した。独立闘争や長期にわたるアンゴラ内戦は，冷戦時の米ソ両陣営の支援を受けた典型的な代理戦争として，歴史に深く刻まれている。

東京書籍 「世界各国要覧」 JLogosID : 14051168