時事用語のABC 社会 社会問題 395 フィルターバブル フィルターバブル(filter bubble)とは、情報が「フィルター」を通され提供され、その理解が自分自身の文化的・思想的な皮膜(バブル)の中に閉じこもる状況を表した言葉で、2011年イーライ・パリザーによって同名の著書として公開された。 インターネット検索で得られる情報が、フィルターとしてユーザの嗜好や検索履歴に合わせカスタマイズ表示され、得られる情報自体に偏りが生じてしまうことや、それがユーザによる「確証バイアス」によって、さらに加速される状況を表す。 「確証バイアス」とは心理学用語でいう認知バイアスの一種で、仮説や信念の検証時、支持する情報ばかりを集め、反証される情報を無視してしまう傾向のこと。 イーライ・パリザー(Eli pariser)はインターネット事業家で、2011年の著書出版の翌年「Upworthy(アップワーシー)」というインターネットメディアの共同創業者の1人。オンラインニュースサイトとして同姓婚や世界の貧困問題などリベラルで社会意義のある情報をミッションに掲げ、ソーシャルメディア上でシェアさせる事に重点を置き展開したため、14ヶ月で3000万UUという爆発的なスピードで成長した。日本でも広まっているキュレーションメディアやバイラルメディアの元祖でもある。 著書は2011年に米国で出版された後、翌年日本語訳版として邦題「閉じこもるインターネット」として発売され、そして2016年に文庫化される際に元の言葉「フィルターバブル」に変更されれいる。パリザーは同著の中で、好みに合わせたカスタマイズは「フィルターに囲まれた世界」をつくり、視野を広める情報に触れる機会を失い、結果的に自分のためにもならず、民主主義にも悪影響を及ぼすことになる、と警鐘を鳴らしている。(2017/2,KK) 時事用語のABC「時事用語のABC」JLogosID : 14425665