網走湾
【あばしりわん】

網走市の能取(のとろ)岬から，網走地方斜里町の知床岬に至る湾。オホーツク海に弓状に開き，湾内西端には北方経済圏の拠点，網走港があり漁業基地である。網走市街から海岸に沿って小清水町に入ると，濤沸湖の小清水原生花園があり，網走国定公園（昭和33年指定）の一部をなす。斜里町遠音別から知床岬にかけては羅臼岳・硫黄山山麓が200m余の海食による断崖をなし，イワオベツ・イタシュベツ・カムイワッカ・ウブシノッタ・ルシヤ・テッパンベツ・ポトピラベツ・オケツチウシ・アウンルイの急流短小の諸河川が懸崖をつくって滝となり海へ流下する。鮹岩・獅岩の奇岩があり，海上からの景色はすばらしい。断崖にはウミウ・オジロワシ・オオワシなどが生息し，海にはトド・アザラシなどがみられる。林道がルシヤまで通じるが，半島の先端部知床岬周辺は道もなく，自然そのものが残るわが国唯一の原始境をなし，知床国立公園（昭和39年指定）となっている。網走の遠洋漁業のほか，湾岸漁業はサケ・マス・コンブ・タラ漁が中心となっている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7000387