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根室湾
【ねむろわん】


根室半島北岸のノッカマップ岬と別海町の野付崎との間に湾入する開湾。松浦武四郎の「納紗布日誌」にはこの湾について「廻るやネモロ湾に入る。浜形西向。波浪至て穏に成也。チャイフンフンテカヲムイ(大湾)是は極宜敷湾と云義」と記す。根室海峡を隔てて国後(くなしり)島に対し,南西部には温根沼(おんねとう)・風蓮湖などの潟湖が開口し,中部には古くからサケ漁場として開け,別海草創の地とされる本別海と西別川がある。東部は根室半島の海食崖が続き,西から南東部は根釧(こんせん)台地の末端となり,湾入が少なく港は前面に弁天島を抱く根室港があるのみ。寛永20年,オランダ東インド会社の探険隊司令官ド・フリースは6月30日にこの湾に入りその後択捉(えとろふ),得撫(うるつぷ)島方面に向け出航した。安永7年にはロシア人がノッカマップ岬に渡来して通商を申し込み,天明6年には幕府の東蝦夷地探検隊の官船五社丸が国後島からの帰途,西別の浜で遭難するなど湾内の往来も頻繁であった。また湾岸に沿う道路も当初はネモロ場所の主要路で,北の野付崎に向かう際には2つの湖沼の開口部を渡しで通行した。湾内の漁業は別海・床丹(とこたん)両港(ともに第1種漁港)を基地とし,エビ・ホタテ貝に加え,サケが中心漁業となっている。南西部の湖沼群を中心として野付風蓮道立自然公園の特別地域に指定され,冬期にはオオハクチョウが飛来する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7006573