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霊山層
【りょうぜんそう】


阿武隈山地北部で,西は福島盆地東縁の十万劫(じゆうまんごう)山(428.9m)から,東は阿武隈山地東縁の天明(てんみよう)山(488m)まで分布する主に火山噴出物から成る新第三紀層,霊山・針道断層と鍋遣(なべやり)断層にはさまった古期花崗閃緑岩の分有地帯で東西に分断されているが,東端部で塩平層をおおうほかはいずれも基盤の花崗岩類の上に堆積している。東部では,北は次郎太郎山・松坂峠・霊山などで層厚200m以下,橄欖石玄武岩や粗粒な火山角礫岩類が重なり,霊山付近では頂上部に安山岩類が分布する。その東方には広く泥質・砂質および礫質の凝灰岩が分布し,溶岩または粗粒な火山砕屑岩類が少なくなる。これらの地層の傾斜は水平に近く,層厚は150m内外である。西部では宮内断層によって,梁川(やながわ)東方地区および御幸山地区と,雨乞山・十万劫山地区とに分けられる。梁川東方では橄欖石玄武岩類が多量に分布し,その間に凝灰岩や火山角礫岩の薄層がはさまり,一部では上部に梁川層がのっている。御幸山地区は梁川東方地区の延長で,層序はそれとよく似ているが溶岩の量は少ない。また粗粒な火山砕屑岩が比較的厚く堆積している。最下部は安山岩である。雨乞山・十万劫山地区は橄欖石玄武岩と同質の火山砕屑岩の上に,安山岩類が厚く堆積している。これらの霊山層は火山性の岩石が多く,また下部の植物化石などから,中新世初期に陸上で堆積したものと見られている。浸食に抵抗して特に霊山では急崖を形成し,奇岩が並んで景勝地をつくる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7034942