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九十九湾
【つくもわん】


九十九潟とも書いた(能登志徴)。珠洲(すず)郡南寄りにある入江。内浦町越坂(おつさか)地内の城ケ崎から同小木(おぎ)地内の日和(ひより)山まで,約6kmに及ぶ。典型的な溺れ谷海岸で,更新世最後の氷期後の海進によって形成されたもの(石川県の自然環境)。「能登名跡志」に「此入海或日置の海ともいえり。此処は小木,一瀬,越坂三ケ村の領境の入海にて,入口九十九ケ所あり」とあり,大小の入江が99もあるところから名づけられたといわれるが,「能登志徴」に「今按うに,此九十九潟は,さる入海の九十九ありし故というは俗説にて,誠は入海の数夥しき故の名なるべし」とある。湾口約300m・奥行約1,300m・最大水深27mで,周囲は主に中新世中期の石英安山岩質凝灰岩からなり,海食崖や海食台が発達する。湾内は年中穏やかで,暴風雨時には避難港として利用される。日本最北限のウミヒルモ・ホソエカダをはじめ,70余種の海草が知られ(県大百科),魚類も多く,昭和46年海中公園に指定された。湾の中程には蓬莱(ほうらい)島がある。付近にはホテル・民宿・湾内めぐり遊覧船発着場・金沢大学臨海実験所があり,能登半島国定公園の中でも代表的な観光地。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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