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駒返峠
【こまがえりとうげ】


能義(のぎ)郡広瀬町大字祖父谷(おじだに)と八束(やつか)郡八雲(やくも)村大字東岩坂(ひがしいわさか)を結ぶ峠。標高380m。主要地方道松江~広瀬線が通る。古く,八雲村日吉(ひよし)にイザナミノミコト伝説の神納山(かんなやま)・剣山(つるぎやま)がある。八雷神の黄泉(よもつ)軍が引き返した所がこの,来魔返坂である。「駒は来魔の誤伝ならん」とある(広瀬沿革概要)。「出雲私史」の尼子興久の謀反記事中に駒返峠の名があるのをみても,早くから駒の文字を用いたらしい。江戸期,松江藩と支藩の広瀬藩との通路であり,改修も行われ,峠に明治5年に立てられた道しるべがある。その後馬車の通れる新道がさらに改修された。近傍の藤原部落には,古く備前長船生まれの刀鍛冶藤原道永が住んでいたと伝える。また峠の中途に,セメクラという地名がある。馬でこの峠を越す人も,越えた人も馬の鞍(くら)を締め直したものという。シメクラがなまってセメクラとなったと想像される。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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