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安芸平野
【あきへいや】


県南東部,安芸市南部にある平野。安芸川・伊尾木川は,それぞれ栃ノ木・東ノ岡付近を渓口として,その下流に安芸平野を展開させる。北・東・西の三方を山地に囲まれ,南は土佐湾に開けている。年平均気温17℃,降水量2,000mm前後で,日照時間も2,300時間前後あり,特に冬の日照時間も長い。渓口部から安芸川・伊尾木川の合流する河口部までは5~6kmほどで,傾斜のある扇状地性低地となり,河川は乱流しがちで,河道の変遷もみられる。しかし,古くから開かれ,古代律令期の条里制地割の遺構も比較的明瞭にとどめるように,河道の固定化も比較的早かったと推定される。大正期以降,土佐における稲の二期作の中心地となり,昭和期に入ると,タバコや,冬でも温暖な気候を利用した野菜の促成栽培も盛んとなり,現在も,施設園芸農業が盛ん。安芸川沖積低地のほぼ中央部には,島状の孤立小丘があり,中世には安芸氏の居城となり,江戸期には,土佐藩家老五藤氏の在地支配の土居が置かれ,一帯の政治の中心地となった。安芸川左岸の内原野・清水寺ケ丘,伊尾木川南北岸の東ノ岡・宮田岡などは段丘面で,内原野などは江戸期の溜池灌漑によって開田化も進んだ。平野の前面,土佐湾岸には海岸砂堆が発達,安芸市の市街地が立地。これは,江戸期の浜町(港と商業地)の系譜を受け継ぎ,近代以降も,県東部の政治・経済の中心地として発達したもの。平野の東西両翼の沿岸部には海岸段丘が発達,段丘面では,施設園芸農業が行われる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7203761