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高岡平野
【たかおかへいや】


県の中央部,土佐市高岡地区を中心とする平野。平野の形態としては高岡と東隣の弘岡(春野町)をあわせて一連の平坦低地とみるべき地形である。旧高岡町と蓮池・高石・北原・波介・戸波をあわせた低地部分を指し,西方から東流する波介川流域低地ともいえる部分。北側には不入(いらず)山脈の東端部が,南側には御領寺山脈が東西方向にのび,その間に発達した地溝帯性の窪地の一種である。高岡地区は仁淀川本流の搬出してきた砂礫がその沿岸に堆積してできた自然堤防が発達しているため,古くから排水不良の後背湿地が形成されてきた。地盤は未固結の泥質物が約30~40mも堆積する軟弱地盤である。旧高岡集落は砂礫を主とする古い自然堤防上に立地していた時代が長く,岡・島のつく地名を多く残している。仁淀川自然堤防によって本流流入を阻止された支流波介川は排水不良の状態が続いたため,池・浦の地名にもみられるように湿地帯を形成してきた。現在は大型の排水ポンプ設置によって河川調節され,波介川流域の低地では藺草の栽培が盛んである。平野内の中心市街地はかつて南北方向の自然堤防および水路沿いであったものが,近年では須崎に通じる東西方向の街路沿いに,さらに最近の国道56号バイパス沿いと拡大している。気候は温暖で,年平均気温16℃を超え,降水量も2,500mm前後と多く,周辺部は,県内でも稲作と施設園芸の中心地の1つ。平野西部の丘陵地にかけては土佐文旦など柑橘類の栽培も盛ん。自然堤防地域では,かつてはその周辺の表流水を利用した伝統的な手漉和紙の生産が農家の副業として発達し,今日でも機械漉生産工場が多く立地している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7206469