100辞書・辞典一括検索

JLogos

22

別府湾
【べっぷわん】


大分県中部,国東(くにさき)半島と佐賀関(さがのせき)半島との間にある湾。沿岸に杵築(きつき)市・日出(ひじ)町・別府市・大分市・佐賀関町がある。湾口の幅は約30km,西へ約30km湾入し,U字形をしている。地形的には東西方向の鹿鳴越(かなごえ)断層崖と朝見(あさみ)断層崖による地溝帯,またはカルデラ湾と考えられている。北岸の日出・豊岡(とよおか)付近は鹿鳴越断層崖(あるいはカルデラ壁)の崖錐から発達した沖積低地の海岸で,川崎・大神(おおが)・熊野の火山灰台地には10m前後の海食崖がある。この台地と国東半島との間に杵築市があり,高山(たかやま)川・八坂(やさか)川の土砂で埋められて浅くなり,アマノリの養殖が盛んな守江(もりえ)湾に臨む。別府湾の1支湾で,東半は長さ1kmに及ぶ住吉浜(すみよしはま)の砂嘴(さし)に抱かれ,砂嘴上にはレクリエーション施設がある。西岸は石垣原(いしがきばる)扇状地の末端にあたり,20mの等深線はわずか約200mの沖あいにあり,巨船を接岸させる。底質は泥粒である。南岸の浜脇(はまわき)から西大分までは朝見断層の延長部にあたり,高崎山(たかさきやま)の下では20・40・60・70mの各等深線が海岸に接近している。大分・鶴崎(つるさき)付近は大分川・大野川などによって形成された沖積平野の海岸で,浜堤や小ラグーンが連なり,両河川の河口付近は舌状に突出していたが,広い砂堆の埋立地とともに,大分臨海工業地帯となっている。大在(おおざい)・坂ノ市(さかのいち)付近は,現在埋立てが進んでいる。神崎(こうざき)から地蔵崎(じぞうざき)までの海岸は,佐賀関半島を形成する三波川帯結晶片岩からなる樅木(もみき)山塊の分離丘陵がせまる岩石海岸で,20~30mの海食崖をなす。別府港は,阪神・松山・広島・八幡浜などからの定期航路の客船が発着し,大分港は前者とともに重要港湾で,タンカー・一般貨物船,佐賀関港は製錬所の鉱石運搬船,フェリーの出入がはげしい。漁業はカタクチイワシのあぐり網・船曳網が主で,ボラの囲刺網・エビの打瀬網,また日出港の城下(しろした)カレイ漁も有名である。慶長5年7月12日の地震で水没したと伝えられている瓜生(うりう)島は,大分市市街地の沖あいにあったといわれている。菡恎(かんたん)湾の別名があるが,菡恎は蓮の花が開きかかった形,すなわちU字形を意味する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7233212