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野間池
【のまいけ】


川辺(かわなべ)郡笠沙町西部にある入江。周囲2km足らずの中生層山地の沈降によるリアス式海岸で,沈降によって湾入し,野間岬は一時離島となったが,現在は陸繋島。その頸部に野間池集落,湾の東側を山神集落,西側を岬集落が取り巻く。野間池集落は土地が低いため,昭和26年10月のルース台風の高潮が集落を洗い流し,大惨害を被った。現在は防波堤が築かれている。かつてはこの低部を漁船が南北に容易に移動し得たので時化知らずであったという。野間池の西は小さな半島となっていて最高点は126mでロラン局がある。歌人川田順の「いにしへも今もあらざり阿多の海の黒潮の上に釣する見れば」の歌碑もあり,眺望がよく坊野間県立自然公園の一方の主要部をなし,海食の巨岩・奇岩が起伏・乱立して千変万化に富む景勝の地。入江は,昭和36年5月第2種漁港として指定され,天然の良港として5t未満の漁船(約120隻)を主体とする沖合漁業の基地になっている。第2種漁港に指定されてから,係留施設や漁業用通信施設・製氷施設なども整備拡充されてきた。主な漁獲物は,ブリ・カツオ・イサキ・イカなどで,55年の総水揚高は505t,約3億7,000万円(野間池漁協資料)。主な漁法は,定置網・まき網・一本釣などであるが,特に著しい特色を持つのは,ブリ餌付漁業である。これは,沿岸に近いブリの回遊路にあたる曽根(浅瀬)に大量の餌料をまき続けてブリを定着させ,一本釣(かぶし釣)する漁法である。餌料まきは「もとのねいれ」と呼ばれ,3~5日間まき続けたあと,12名1グループ単位で一本釣りをする。漁期は9~12月であり,野間池漁協の水揚高の中で,最も高い比重を占め,また,収益性もぬきんでて高い漁業である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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