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函館湾
【はこだてわん】


函館市と渡島(おしま)地方上磯町にまたがる湾。東は函館山の南端の大鼻岬,西は上磯町の葛登支岬とを結んだ線の北および北東に開いた湾で,津軽海峡に面する。湾奥には重要港湾函館港があり,その形から巴港(ともえこう)とも呼ばれる。水深は湾口で50~60m,港奥に向け漸減し,東の函館山から上磯市街地まで弓形の砂浜海岸が形成され,西岸は海岸段丘をなして海食崖を形成する地点で終わる。函館山が噴出した後,沿岸潮流や河川その他による土砂の埋積,土地の隆起により,対岸の亀田半島との間に陸繋島が形成されこの湾が生まれたとする。幕末には福山港よりも波浪の影響の少ないこの湾が注目され,本州~北海道間の物資流通の拠点となり,安政6年には日本最初の開港場の1つに選ばれた。湾内東側は港湾として利用され,造船業・製缶業・製網業などの臨海立地がみられるほか,連絡船専用埠頭・フェリー埠頭などもある。また,西側の上磯市街地には日本セメントの専用桟橋がある。湾の中央~西側は,古くから漁業が営まれて,今もホッキ貝・サケ・ノリ・ホタテ貝などの漁獲がある。近年では湾内への生活排水の流入や工場排水の流入が多くなり,海水汚染が進んだため,函館湾広域下水道処理計画がたてられている。また港奥の埋積がひどく,その処理のために緑の島が建設されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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