浅香山
【あざかやま】
朝香山(三国地誌)・阿坂山(伊勢名所拾遺)とも書き,袖岡(そでおか)山(三国地誌)ともいう。一志(いちし)郡嬉野(うれしの)町と松阪市大阿坂町・小阿坂町との間にある山。標高300m。赤目一志峡県立自然公園のうち。鉢が峰と桝形(ますがた)山との間一帯の呼称。最北端に桝形山(白米城跡がある)がある。山名は,昔東麓一帯を安佐賀と呼んだことによるという。花崗閃緑岩からなり,東に一志断層,西に白米山断層が走る。東麓に扇状地が広がり,阿射加神社三座が祀られている。「伊勢国風土記」に「安佐賀山に荒ぶる神あり」とある。古くは紅葉の名所として知られ,「万葉集」に「時待ちておつる時雨の雨やみて朝香の山のもみちしぬらん」(市原王),「夫木抄」に「いかなれば阿坂の山のあやにくに紅ふかく紅葉しぬらん」(常陸丸)などと詠まれている。
| KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7604343 |