白猪山
【しらいさん】
松阪市と飯南郡飯南町の境にある山。標高817.7m。松阪市内の最高峰で,市内を流れる阪内川の源流に当たる。全山花崗閃緑岩からなる。貞元2年出土の鐘から,官の御料とするイノシシを飼っていたことが知られ(松阪市史),現在でもイノシシが多い山であることから名づけられた。古くから,堀坂(ほつさか)山・局(つぼね)ケ岳とともに伊勢の三峰と呼ばれ,伊勢湾を航海する船の目印になっていた(勢陽五鈴遺響)。頂上から少し下った二の峰には,宝暦年間飯南町深野の宝泉寺住職が江戸増上寺で修行し,帰途相模国茅ケ崎の阿夫利神社の分霊を受け,祀ったといわれる石造不動明王がある(松阪市史)。その祭礼が毎年3月15日,深野地区の人たちにより行われる。山頂へは松阪市大石町と飯南町深野から通じ,伊勢湾・知多半島・答志島および奈良県の山々を一望できる。
| KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7604412 |