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弘岡平野
【ひろおかへいや】


県中央部,仁淀川下流左岸の沖積平野。吾川(あがわ)郡春野町東部の諸木,高知市南部の長浜付近の低地も含めて吾南平野と総称される場合もある。地形的には南側の御領寺山脈(森山丘陵),北側の鷲尾山脈に挟まれた地溝性の低地であり,仁淀川を隔てて西側の高岡平野とは東西方向に一連の地体構造のもとに原形が形成された地域である。かつては仁淀川がこの溝状部を東流していた形跡があり,平野周辺および東部には残丘性の丘陵が点在している。弘岡平野自体は,仁淀川の搬出してきた土砂の堆積によって平坦化が進んできたため,対岸の高岡平野と同様に,乱流を繰り返した仁淀川の旧河道沿いには砂礫を中心とした自然堤防が,その内面側には主として泥質物の堆積による後背湿地が幾重にも形成されて今日に至っている。そのため平野面は,新川付近に代表されるような微高地(旧自然堤防上)が集落の立地するところとなり,また畑地として利用されてきた。一方,現在も点在する池沼にみられるように,排水不良の低地(旧後背湿地)は水田または藺草栽培地として利用されてきている。これらは承応元年,野中兼山によって灌漑と運輸の目的で築造された弘岡水路に負うところが大きい。弘岡平野は高知市街地西部とその南部の丘陵を中にして隣接しているため,近年国道56号沿いの商業化,鷲尾山トンネルの開通,春野総合運動公園の設置,東部丘陵地を中心とした住宅団地化などが進み,旧来の近郊農村的色彩を残しながら漸次,都市化が進行している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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