コラム8

～竜舌蘭の蒸溜酒の総称～


メスカル

法的に産地や原料が定められているテキーラに対し、それ以外の竜舌蘭から造る蒸溜酒は、総称してメスカルと呼ばれる。もとは先住民のアステカ人が竜舌蘭から造っていた醸造酒プルケを蒸溜したといわれる。法的には指定の５品種の竜舌蘭の使用を定めているが、実際には様々な竜舌蘭から蒸溜酒が造られている。中に虫や唐辛子を入れたメスカルも有名。よくテキーラと間違えられるが、正しくはメスカルである。


メスカル　グサノ　ロホ
（アルコール度数38 度／容量700ml）
100％アガヴェのメスカルに、グサノと呼ばれる芋虫が１匹入っている。日本で販売されているのはおもに赤い（＝ロホ）虫入り。この芋虫は竜舌蘭以外にはつかないので、入っているのは本物の証しなのだという。また、貴重なタンパク源であるとか、独特の風味を増すものだとか、虫を入れる理由はいくつかあるが、縁起物、メキシコらしさといった気分的な要素も大きいようだ。
グサノは現地では、干して塩や唐辛子と混ぜて粉末にし、メスカルのつまみにもされている。


メスカル　テワナ　コン　チレ
（アルコール度数40 度／容量500ml）
100％アガヴェのメスカルに、赤唐辛子が丸ごと１本入っている。メキシコ特産のチレパシージャという大きな品種で、びりっと刺激的な味。オアハカ州で100年以上続くチャゴヤ家が製造している。

東京書籍 「洋酒手帳」 JLogosID : 8515670