無意識の二層
集合的無意識と個人的無意識に分ける.集合的無意識は人類またはさらに広くは生物全体が進化の途上に記録していった無意識の記憶である.絵画療法などの場合に出現したイメージが何を意味しているのか,メッセージは何であるか,考える場合に,参考になる.すなわち,例えば「うさぎ」が何を意味しているのか,その人の内部のイメージシステムを探るとき,そのイメージは心のどの層から出たものか考えてみる.
集合的無意識層から出たものであれば,ある程度類型的であるから,ある程度公式的な読みとり方も可能になるであろう.しかしそれもある程度である.公式的な読みとり方は常に危険である.また,無意識層のイメージシステム形成にあたっては,言語システムの影響が大きい.言語はそれ自体,イメージ間の暗黙の関連を含む.それが心に取り入れられて無意識層の形成に関与しているとも考えられる.つまり,集合的無意識も個人的無意識も,言語システムからくる無意識にある程度は「汚染」または影響されていると考えられる.
| 丸善 「こころの辞典」 JLogosID : 12021240 |