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タワマン・タワーマンションのデメリット
【たわまん】


タワマン・タワーマンションのデメリット

jabc【デメリットシリーズ】メリットはネット上に溢れているため、敢えてデメリット・注意点に特化した解説となります。選択の際、メリットだけでなくデメリットが許容範囲かという点の理解が、後悔を避ける最大のポイントと考えています。

高層階からの眺望や充実した設備等魅力の多いタワーマンション(タワマン)ですが、デメリットも多々あります。自身の生活スタイルや環境にあった選択であればその効果を存分に発揮しますが、反面ミスマッチが多くあるのも現実です。一度決めたらリカバリーしづらいため十分理解した上で選択できればと思います。少なくとも以下にあげる「デメリット」が許容範囲かどうかは知っておきたいところです。

◆建物の構造上の問題
・エレベータ待ち時間が長い
建物自体が駅徒歩5分でも、自宅ドアまで15分というケースも。
・高層階は風強め
ベランダで洗濯物が干せないなどの規約も。窓が開けられない場所もあり風通しが悪い場合も。
・壁が薄めで騒音が想像以上
構造上石膏ボードに断熱材防音材等で軽量化される反面、低層の鉄筋コンクリマンションと比べて音が伝わり易くなります。
・ポストや駐輪場などは集約
場所が限定されているため、部屋によっては毎回大回りを強いられることも。
・駐車場出し入れ時間
平置きは数が限られるため機械式駐車場がメインとなりますが、構造や質によって大きく待ち時間が変わってきます。毎日の出し入れに10分以上かかる場合もあり注意が必要です。
・携帯電波がつながりにくい
高層階ほど繋がり難くなります。これは通常のキャリアのアンテナがビル屋上等から下向きに造られていることも原因の一つ。
・内廊下なので匂いがこもる
各階にゴミ置き場があり便利ですが、匂いがこもると換気しづらい場合も。
・遠くが見える=遠くから見られる
遮光フィルム等で対応しても、時間帯や角度によっては生活状況が丸見えな場合も。
・ベランダからの転落リスク
ベランダガーデニングやエアコン室外機経由で転落してしまう事故が発生しています。

◆生活上の問題
・宅配系の問題
各階に宅配ボックスがあるタワマンも出てきていますが、1Fのみの場合は自室に運ぶのも一苦労。置き配指示でもうまくいかない場合もあるため要注意。
・フードデリバリー系の制約
そもそも禁止にしているところもありますが、デリバリー側から見ると制約の多いタワマンは駐車駐輪場所指定もあり敬遠され遅延することも。
・引越し等が高額
搬出経路や養生等を細かく指定されることもあり通常の引越しに比べ高額になります。
・管理費が高額
充実した共用部維持に必要なため、平均的なマンションと比べ倍近くになります。
・修繕積立金が高額
普通のマンションと比べ特殊な構造のため高額になります。年々上昇カーブが増す場合も。特に大規模修繕は外壁や水回り等の一括修繕となり老朽化した場合費用や工期等予測できない問題もあります。
・ネット回線が遅い
共有回線は建物ごとのため、繁忙時間帯はボトルネックになります。
・騒音の住人・客人
住人以外にも、家族や客人、ラウンジでのパーティ等不特定多数が出入りすることがあります。セキュリティ面で問題がありつつも構造上制約は難しいかもしれません。
・共用部分使わない人は損
管理費には共有部の維持費も含まれているため、共有部(ラウンジやプール等)を利用しない人にとっては割高感があります。
・災害に弱い
地震でエレベータが止まると空の孤島になりますし、水回りにダメージ(特にトイレ)が出た場合は深刻です。構造(制振・耐震・免震)にもよりますが長周期地震動は数メートル揺れ、10分以上続き不安とともに酔う方も。また火災の場合、高層階は外からの消火活動がしづらく上層階は逃げ場がなくなるなどのリスクも。火災の規模によりますが建物の骨格部分へ影響があるとマンション評価額への影響も甚大。

◆精神・肉体的な問題
・階数ヒエラルキー
どうしても上層階=高級なイメージがあります。実際高層階は眺望の面でも同間取り同設備でも高額になりますし、実際高級グレードの住戸も高層階にあるのでなおさら。同じエレベータに乗る時に階数ボタンで勝ち負けみたいな感覚を意識したことがある人は最上階に住まない限り常に心のどこかに悔しさを秘めてしまうのでしょうか。
・気温・気圧の違い
気圧は100m(25階相当)上がると10ヘクトパスカル下がります。また高層階だと地上と気温も1度くらい違います。人によってはこの変化による体調の変化がある場合も。お酒を飲んだ時の体へのまわり方への差などを指摘する人もいます。
・外出しなくなる
外に出るまでの時間がかかるため外出自体が億劫になる場合も。

◆ほか
・相続税評価額の大幅見直し
タワマンの魅力の一つ「大きな相続税対策」が制限されてきています。法律改正で相続税評価額が倍以上になる物件も珍しくありません。以前は固定資産税評価額が単純に面積割のため、時価の高額な上層階(特にペントハウス)の節税効果は絶大でした。現在では改正を重ね高層階になるほど係数を用いて修正されますが、全国一律のためマンションごとの不平等は残ります。
・時価評価は常に調査しておきたい
このようなタワマン税制の行方によって大きく変わるため定期的な評価額チェックが重要。同建物内の売買実績や分譲賃貸の賃料相場をこまめにチェックしておくのも大切です。
・事故物件
数百戸から千戸近い世帯のためどこかの部屋で事故が起きています。事故物件検索サイトでも該当するタワマンも多いのでは。経験上何らかの心理的瑕疵はどのタワマンにもある前提の覚悟が必要です。
・70年後以降・・・
大規模マンションで社会問題化していますが、マンション自体の建て替えは住人のほとんど(8割以上)が賛成を明示する必要があります。特に区分所有者はそれぞれ全員の合意が必要。今後相続を超えて共有者が倍々に増えるため「所有者不明土地問題」と同等な問題にも発展します。現行法では雲を掴むような話が現実なため、将来の法改正に期待。

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このようにタワマンのデメリットをまとめてきましたが、これらを上回る魅力を感じるのも人それぞれ。ただ実際住んでみて(購入してから)これらの現実を突きつけられて脱落した方も実際いらっしゃるので、何かの参考になればと思います。

小島孝治
宅建士・不動産コンサルティイングマスター相続対策専門士・家宅整理士




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