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天喜
【てんき】


母と兄弟でがんばる

天喜

4代目の江端考俊さん、母親の久枝さん、そして弟の充郎さんの3人で切り盛りする和やかな店。

創業は明治43年(1910)。「天ぷら鍋に衣を入れ、散らして揚げ玉を作り、それを天ダネに素早くつけて〝花〟を咲かせるのが、初代からの伝統の揚げ方なんです」と考俊さん。そうすることにより、サクサクと歯ざわりがよく、見た目も豪華な天ぷらに仕上がるという。

脇で息子の仕事ぶりを見ていた久枝さんが「近ごろ、揚げ姿が父に似てきましてねぇ」と、にこやかに語る。考俊さんは高校に通いながら毎夜、店を手伝い、祖父から薫陶を受けた。平成8年に店を改築した際は、大宮の「すし辰」で魚介のさばき方や調理法、刺身の引き方などの修業に励み、今では若いながらも一人前の職人として老舗の暖簾を守っている。

貝柱のみを使ったかき揚げは、創業以来親しまれてきた定番の一品。日本酒の盃を傾けながら、じっくりといただきたい。




東京書籍
「東京5つ星の鰻と天ぷら」
JLogosID : 14070775