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秋の空
【あきのそら】


なぜ、女心は春ではなくて秋なのか?

女性の変わりやすい心のたとえとしてよく使われる「女心秋の空」という言葉がある。秋の空模様変わりやすいように、女心変わりやすいといいたいのだろうが、よくよく考えてみると、秋という季節運動会遠足があったりで、そんなに天気変化激しい季節でもない。むしろ「秋晴れ」という言葉があるくらいで、晴天のイメージ強い。それに、単に変わりやすい天候をいうならば、春も雨が降ったりやんだりで、気温の差も激しいから、「女心春の空」でもいいのかもしれないのだが……。では、なぜそういわれるようになったかというと、短歌俳句などで「秋」と飽きる」の掛詞(かけことば)としてよく使われたことによる。その昔、『古今和歌集』では、「あき風の 吹きと吹きぬる 武蔵野は なべて草葉の 色変はりけり」と自分を捨てた男を恨む歌も詠まれている。この場合は、「あき風」が失恋や恋の終わり表す言葉としても使われていて、本当の季節というよりも、秋の季節にある独特の荒涼感や寂寥感が歌をひき立てているのである。ちなみに英語では女心変わりやすさを季節天候にたとえることわざは、日本よりずっと多いという。いくつか紹介すると、「A woman's mind and winter wind change often.(女心冬の風はしばしば変わる)」「Women are as fickle as April weather. (女は四月天気のように移り気だ)」「 A woman is a weathercock.(女は風見鶏だ)」いずれにしても、女の心は万国共通変わりやすいということだろうか。




東京書籍
「雑学大全2」
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