BRICs

中国と、それに続いて成長軌道に乗った新興諸国を一括した呼称。ブラジル(B)、ロシア(R)、インド(I)、中国(C)の頭文字を並べた新語で、米証券会社のゴールドマン・サックス社が2003年10月に投資家向けのリポートに使ったことから広まったといわれている。その点では、「新興市場」という言葉の起源と類似している。同リポートでは、この4カ国は02年の名目GDPを合計しても、米国の4分の1に過ぎないが、39年までに先進6カ国(米、日、独、仏、英、伊)の合計を上回るとした。インドはIT技術の強みを生かし、米企業からの業務委託を伸ばしてきた。ロシアは経済の好調を背景に、中国に続いてWTO加盟を目指している。しかし中国については、経済過熱からバブルの発生を指摘する声も少なからずあり、北京オリンピック、上海の万国博が終わった後に、安定成長に移行するかどうかは予断を許さない。また、インドでは、中国と同じように、経済成長から取り残された階層への対処が課題となっている。ロシアやブラジルは、アジア通貨危機の直後に、対外債務の累積から通貨金融危機を経験したことがあり、楽観論に対して警戒論もある。

![]() | 朝日新聞社 「知恵蔵2009」 JLogosID : 14844911 |