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WTOの紛争解決手続き


WTO's dispute‐settlement procedure

 WTO紛争解決手続きガットの二国間協議、パネル(小委員会)設置を基礎としつつ、それらより格段に強化されている。WTOでは、賛成する国が一国でもあれば、すなわち全加盟国が反対しない限り、パネル設置や対抗措置の発動等が決定され(ネガティブコンセンサス方式)、最長18カ月とする時間的枠組みと共に、手続き自動性、迅速性を保証する。その半面、紛争解決手続き信頼性を保証するため二審制が導入され、パネル報告に不満を持つ当事国は、上級委員会に審査要請ができる。また、モノ、サービス知的財産権のいずれの分野に対しても適用され、対抗措置も原則として紛争案件と同じ分野内で発動することとされている。その措置が有効でないと判断される時は、異なる分野において対抗措置を発動する(クロス・リタリエーション)可能性にも道を開いた。また、WTO協定に関する紛争は、この紛争解決手続きを利用しなければならない点を明文化し、一方的措置の発動に対する抑止力を高めている。1995年から2006年6月までにWTOに通報された紛争件数は、346件にのぼる。




朝日新聞社
「知恵蔵2009」
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