NATOの拡大
冷戦終結後の中東欧諸国およびバルト諸国の北大西洋条約機構(NATO)への加盟の動き。冷戦時代にトルコ、ギリシャ(1952年)、西ドイツ(55年)、スペイン(82年)と加盟国を増やしたNATOは、冷戦終結後、東欧諸国に拡大していった。99年にポーランド、ハンガリー、チェコ、2004年にはルーマニア、スロベニア、バルト3国、ブルガリア、スロバキアが加盟し、さらなる拡大が進められている。ソ連の崩壊後、東欧諸国はロシアの脅威に対する不安からNATO加盟を強く要請するようになった。91年11月、NATOは北大西洋協力評議会(NACC)を設立して旧ソ連・東欧諸国との話し合いを開始したが、こうした動きがロシアを刺激したため拡大のスピードを緩和。94年に緩やかな軍事協力も含めた「平和のためのパートナーシップ(PfP:Partnership for Peace)」を発足させ、加盟希望国はその下でNATOと協議して「個別プログラム(IPP)」を作成することとなった。ロシアとの関係では、97年5月に締結されたNATO・ロシア憲章の下、NATO・ロシア常設合同評議会が創設され、他の東欧諸国とは別に協議枠組みを持つことになった。さらに2002年5月にはNATO・ロシア理事会が創設されている。東欧諸国の加盟手続きとして、97年7月マドリード首脳会議で、加盟招請と「民主化」などの加盟条件の克服を求める「オープン・ドア政策」が定められ、それにしたがって99年のポーランド、ハンガリー、チェコの加盟が実現した。その後99年4月には、「加盟に向けての行動計画(MAP:Membership Action Plan)」(加盟準備支援)を新たな基準とし、04年3月に上記7カ国の加盟が実現した。また、新たにクロアチア、マケドニア、アルバニアが加盟準備支援を受けることが、04年6月イスタンブール首脳会議で確認されている。
| 朝日新聞社 「知恵蔵2009」 JLogosID : 14846111 |