発展途上国
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developing countries
経済的発展が相対的に遅れている南の諸国の総称。世界銀行の分類によると、世界208カ国(人口3万人以上)のうち、153カ国の低 ・ 中所得国(1人当たり国民総所得〈GNI〉が2004年現在で1万65ドル以下)がこれに当てはまる。かつてJ.S.ミルは、『経済学原理』の中で「世界経済の進歩の中で遅れている国々」のことを後進国(backward countries)と呼んだが、南北問題が注目され始めた1960年代に、発展途上国という呼称が国連(UN)用語として定着した。70年代に入ると、欧米などの自由主義国を第一世界、ソ連 ・ 東欧などの社会主義国を第二世界、それ以外の諸国を第三世界(The Third World)と呼ぶことが普及した。その名付け親は、旧仏領マルチニク島出身の黒人精神科医、F.ファノンである。この用語は、フランス革命時に、僧侶、貴族に次ぐ「第三身分」としての平民が来たるべき新たな時代を担ったことに由来している。
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![]() | 朝日新聞社 「知恵蔵2009」 JLogosID : 14846520 |